さかさまバニーからさかさ魔法を解く方法

よく食べよく放浪するOLの雑記ブログ

あなたと過ごす一日

 

朝日がまぶしくて目を覚ます。 ベランダにでると風が心地よく、赤い屋根のならびが眼前に広がっていた。

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ドゥブロヴニクは現在クロアチアの1都市だが、かつては都市国家だった。
アドリア海の海上貿易と海戦において好ましい立地にあるが故、ここは過去にいくども侵略の脅威にさらされてきた。けれど専守防衛によって自由と自治を守り続け、また世界的にも早期の奴隷制廃止を宣言したことでも知られている。
 
「ここは自由の地なの」
 
穏やかな朝の街をみながら、私は昨晩、宿泊先のSOBEのママがベランダのデッキチェアに座って語ったドゥブロヴニクの歴史を回想していた。

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街にでてみると、朝はやいからか、まだ人はそんなに起き出していないようだった。
ひっそりと道を抜け要塞に向かう。 朝の方がきれいだとママが言っていたのを思い出したからだ。

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要塞にのぼって、上から街を眺めた。
 
1979年に世界遺産に登録されたドゥブロヴニク旧市街は、「アドリア海の真珠」と謳われるほどの美しい街並みで有名な、観光地だ。
また日本では、この赤い屋根の景色はジブリ映画「紅の豚」や「魔女の宅急便」の舞台になったことでも知られている。
それらに心から納得しながら、私は吹き抜ける風を感じていた。
 

(本当に、絵になる風景だもんね)

 

美しい海のむこうに、どうしてこうも想いを馳せてしまうんだろう。
要塞の中でふと街の反対側を振り返ってみると、そこには一面の青い海があった。

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この景色をみて育ったドゥブロヴニクの人々がこの街を愛するのは、至極当然のことだと思える。それほどきれいな海だった。

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穏やかで美しい街だ。
 
地震や内戦時に街を破壊され、危機遺産登録された過去もあることを忘れそうになるほどに、それは平和そのものの姿だった。
 
1991年、クロアチアがユーゴスラヴィアからの分離独立を宣言してから、ドゥブロヴニクはユーゴスラヴィア連邦軍とセルビア人による容赦ない攻撃を受け、破壊されている。
そして壊れた街は、市民らによって瓦礫の中から建築材料を拾い出され、建築された時代様式にそって修復・復元されたという。
 
その事実は、この街が世界遺産であること以上に、自由と平和を尊ぶ美しいドゥブロヴニクの街を誇り、愛する人々の地であるということの裏付けであるように思えた。

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旧市街にはいる門には、ラテン語でこう刻まれている。
 
Non bene pro toto libertas venditur auro.
ーーーこの世のいかなる財をもってしても、自由を売りわたしてはならない。

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日の沈みかけた港町で、アイスクリームを食べながらベンチに座っていた。
 
バカンスでどこかからきているのであろう家族や、地元のカップル、さまざまな国の言葉、年齢性別が違うにぎやかな人々の声。
 
はじめは別々に聞こえていた全てが、風に溶けてひとつの音になった気がした。

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すこしずつ夕日の色が帯状に広がっていくのをきれいだと思いながら見ていた。
 
(売り渡してはいけない自由って、いまみたいな穏やかな時間のことを言うのかな)
 
自由になにものにもかえがたい価値を見出した人々の街に、すっかり感化されていた。
 
(ううん。やっぱり、自由ってなにとか、わたしがいま自由なのかとか、難しくてわかんないや。でも、なにが虚しくてなにが尊いのか、そしてなにを愛したいのか、それははっきりしているし、この素直な気持ちはなににもしばられてない、気がする)

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日が落ちて群青にそまった海と空の境目をさがしてから、わたしは港をあとにした。
穏やかな1日が明日も続くように願いながら、空に向かって両手をぐっとのばす。
 
自由を握りしめた両手は、ほどかなかった。
 

@ドブロブニク/クロアチア 201408

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