さかさまバニーからさかさ魔法を解く方法

よく食べよく放浪するOLの雑記ブログ

すきないろ

 

「黄色い赤ちゃんを産んで!」
 
 
明美が3歳になるころ、ママは明美に、妹ができるのだと言った。
 
赤ちゃんが生まれるというのがどういうことかとか、赤ちゃんとはなんなのか、なんてまったくわかっていなかったけれど、明美も子供だし、それについて深く考えはしなかった。
 
そんなわけで、ただ純粋にひたむきに、なにか新たにこの世にでてくるというのなら、それはぜったい、わたしのすきな黄色がいいし、そうだったらとっても素敵だわ!とだけ、思っていたのだった。
 
 
 
ところで、そのあと幼稚園に入った明美の頭を悩ませたのが、この「すきな色」のことだった。
 
幼稚園のクラスは、男の子と女の子あわせて、ぜんぶで20人くらいだった。
先生が、みんなのすきな色はなあに?とか、すきな色で塗ってね、なんていうと、男の子は青か緑で塗ったし、女の子はみんながピンクを選んだ。
 
(ピンクをすきでないと変なのかな?)
 
なんとなくみんなと違うことに悩んで、お気に入りだった黄色い傘をもつのがちょっとおっくうになった。そして、
 
(黄色がすきなんだもん、仕方ない。でもしばらくは、すきな色をきかれたら、ピンクと言うようにしよう)
 
と、幼心に誓ったのだった。
 
そうして年中さんの間の1年間、明美は本心を隠してみんなとおんなじふりをしていた。 みんなと一緒じゃないと、何かがだめなんだと、なんとなく感じていた。
 
 
でも結局、ピンクはそんなにすきにならなかった。
 
 
クラスのみんなが同じ色をすきなんて、この世にピンクと青と緑しかないみたいでとっても変よね、と思ったし、お外に行ったら太陽はきらきら黄色く輝いて、黄色い花が咲いていると手を伸ばした。
 
(たぶん、ピンクをだいすきにはなれないな。わたし、やっぱり黄色がすき。)
 
 
学年があがるころ、明美はやっぱり黄色がすきだというようになった。
ほかの誰でもなく、じぶん自身の心に従うことが、最もただしいのだとおもった。
 
 
ーー自分の世界をまもるための、勇気をだそう。
 
 
明美は久しぶりに黄色い傘をもった。すこし短く感じて、背がのびたことを知った。
 
 
(わたしったら、オトナになったわ)
 
 
清々しい気持ちだった。

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